For Seller

売り手さまへ

M&Aアドバイザーであり現役の印刷広告経営者の私がお伝えしたいこと

印刷・広告企業を売却したい方が準備すべきこと

 私は家業の印刷・広告会社を経営している現役の経営者です。中小企業の後継者育成には10年かかり、私にも差し迫った課題であることから気持ちはよく理解しています。
中小企業の実態と、印刷・広告業界をよく知る私が、M&Aアドバイザーとして思うことは多々あります。
しっかり準備しない場合、売却時に「損しなくてもいい損」をしてしまいます。下記にその理由をいくつか紹介します。

1.印刷広告業界で私がよく使う評価法

M&Aでの企業評価にはいろいろな評価法があるのですが、私が、印刷広告業界でよく算出の基準にするのが下図です。
シンプルに「①純資産(時価)がどのぐらいあるのか」「②収益力がどのぐらいあるのか」の2軸を参考に、想定価額を算出していきます。
収益力をどの指標で何年分を見るのかで価額が変わっていきます(例としてケース1からケースまで挙げました)。

例.算出基準となる情報

簡易的にBS時価修正

資産の部
210,000千円
負債の部
190,000千円
(役員借入金
2,500千円含む)
時価純資産
20,000千円

収益力(減価償却以外は過去3期平均値を採用)

営業利益 5,000千円
減価償却 40,000千円
役員報酬 10,000千円(退任分)

計    55,000千円

ケース1:時価純資産+(営業利益+減価償却)×1年分で算出 20,000+5,000+40,000=65,000千円
ケース2:時価純資産+(営業利益)×3年分 20,000+(5,000×3年)=35,000千円
ケース3:時価純資産+(営業利益+減価償却+退任役員報酬)×1年 20,000+55,000=75,000千円

このように時価純資産と収益力から考えるのは、かなりメジャーなやり方です。上記からわかることは次の2点です。

【上記からわかること①】財務状況がいいときでないと、それなりの値段では売れません。特に営業利益は毎年大きく変わることから、利益が出ているのなら「売りどき」とも考えられます。

【上記からわかること②】時価純資産と収益力というたった2つしか指標にいれていないのに、大きく価額がばらつくことがわかります。評価額に根拠をつけていても、ばらつくことを念頭に置く必要があります。

2.簡易株価評価はあくまで理論株価

M&Aで株式譲渡する(自分の会社を売る)ときに希望の価格で売れるかどうは、買い手が見つかり、その価格に納得しなければ成立しません。
1の簡易株価評価では、一定の理論に基づき簡便な形で算出した株価です。しかしそこに正解はなく、あくまで参考値です。実際にはマーケットで売買されるため、買い手側の評価にも左右されます。
印刷広告業界の場合、長年の関係を築いた取引先にいい顧客があることも多いです。そのような財務にない隠れた魅力が複数の買い手にとって感じられれば高くなります。
一方で、今後の大幅な市場縮小が予見される業界で、何も魅力を見いだせない場合は、将来性が乏しく価格が下がる圧力がかかるでしょう。

3.数年かけてでもM&Aフレンドリーな会社をつくること

買い手側はDD(デューデリジェンス:買収監査)をするものの、売り手よりもはるかに少ない情報の中から、リスクをとって買収を行います。
何か疑わしいリスクや不信な点が発見されると当然、最終的な成約価格は下落する、最悪は破談になってしまうかもしれません。
印刷・広告業界では、決算書やビジネスモデルだけでない問題点を抱える企業も多いです。
例えば、長時間労働などの労務問題、デザインやソフトウエアを使うための知的財産権管理の問題、印刷工場での薬品使用による健康や環境汚染の問題、言い出せばきりがないですが、少しでもグレーゾーンをホワイト化しておくことが求められます。
遵法意識の低い会社、事業が強くても管理部門が弱い会社は敬遠されるため、数年かけてでもあるべき姿に近づけましょう。

私の強み

1、2、3といくつか価格や交渉に影響することを書きました。これだけでも大きな価格変動があることが想像できたと思います。印刷広告業界のM&Aで問題になるところ、また統合後にうまくシナジー効果が発揮できるかについては専門性の高い助言が必要です。
印刷広告会社の経営者でありながら、M&Aアドバイザーでもある私だからこそご相談にのれることがあるかもしれません。詳しくは、お問い合わせください。

ご相談は無料!まずはお気軽にご相談ください。

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