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M&Aアドバイザーはどんな仕事?その価値は?
ⅰ)アドバイザーを起用せずに自分で相手探しや、直接の交渉をしてもいい?
Answer : M&Aアドバイザーを起用した方が、のちのち後悔しないで済むと思います。
理由1)交渉の調整役として必要
M&Aは交渉事であり、売り手は1円でも高く売りたいし、買い手は1円でも安く買いたいというのが本音でしょう。そのため自ずと交渉は対立の構図になります。だからこそM&Aアドバイザーが入る調整役が必要です。
M&Aはよく結婚に例えられます。結婚後は双方とも仲良くしていかないといけないのに、対立してどちらかが儲かった、どちらかが損をさせられたという気持ちが残っていたら、当然仲良くできるかどうか不安です。結婚の感動を気持ちよく味わうためにも、どうしても調整役は欠かせません。M&Aアドバイザーは仲介に入るとき、互いの見解を認め合い、互いの譲歩と満足を引き出せるよう努めます。
理由2)トラブル防止のために高い専門的な知識が必要
最近はネットで株式譲渡や事業譲渡も行われる時代です。小さな規模の売買にアドバイザーが不要と考える人も多いですが、小さな規模の会社さまほど売買リスクが高まります。
一般に小規模な会社様ほどコンプライアンスや契約について不慣れであり、また管理部門が弱く、しなければいけないことができていません。労務面、税務面、事業認可などに問題を残したまま引き継ぐと、あとから大きなトラブルにつながることが予想されます。M&Aアドバイザーはブローカーや伝言係ではありません。どのような交渉をしていくべきか、契約やスキームはどのようにつくるべきか、情報管理をどうしていくかなどを理解しており、コンサルティングをしながらマッチングを図ります。
ネットオークションや個人売買サイトのように会社が売買される時代ですが、アドバイザーやデューデリジェンス(買収監査)なしで進めるのは危険なギャンブルと言えます。
ⅱ)知人に直接買ってもらうのなら仲介のアドバイザーなど要らないのでは?
Answer : 多くの場合で、間に入ってくれる仲介アドバイザーは必要です。
理由1)どうしてもこれまでの関係性が交渉の場に入ってしまい、合理的な真の条件交渉ができなくなる
知人であればあるほどいわゆる「なあなあ」の関係になり、遠慮も入ってしまいます。そのため知人との直接交渉の中で、情が入ったりすれば本来の売買とは違う結果をもたらします。
M&Aでは相手が知人でなくとも、直接交渉はいい結果を生みません。アドバイザーが間に入らずに直接交渉してしまうと、細部の取り決めがなされていないケースもあり、最終的に致命的欠陥につながる可能性もあります。
M&Aアドバイザーを挟むということは、できるだけトラブルの原因になるものを回避する効果があります。また必要以上に安く売ったり、高く買ったりの不釣り合いな取引を行う可能性も低減してくれます。
報酬を支払う必要がありますが、その価値は十分あると思われます。
理由2)売り・買い双方からの、すべての情報を一元管理する人が必ず必要
M&Aにおける売買では最終的には契約書に落とし込み、互いの認識ズレがないようにしなくてはなりません。そのためには、誰かがすべての情報管理をしなくてはいけなくなります。「言った・言わないの問題」で、合意事項を契約書に落とし込んだときに、漏れがあってトラブルになると互いに不幸になってしまいます(こじれると、破断や訴訟などの問題に発展します)。M&Aアドバイザーは秘密保持をしながら情報管理者としても機能しています。
結論
印刷会社や広告会社は、取引先が全業種にまたがり、地元に同業他社も多く、仕入先も少なからずあります。そのため、買収や売却の相手が知人になることもしばしばだと思いますが、こうした人生を左右する大きな取引に関しては、間に条件交渉をしてくれる人を入れるべきです。できるだけ、直接の相対交渉は避けるべきと考えています。
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